伏見IVF乳腺うえだクリニック

不妊検査について2025.10.28

伏見IVF乳腺うえだクリニックの院長の上田匡です。
当院は、2026年5月より丹波橋駅近くで開院予定としており、
伏見区だけなく京都市の南部や宇治市、京田辺周辺の皆様へも不妊治療・婦人科・乳がん検診を提供できればと考えております。
今回は、不妊検査についてわかり易く説明します。
 
不妊症の原因がなんであるか。敵を知らないと戦うこともできませんよね。
ただ、不妊症の原因がわからない場合もあります。その場合は機能性不妊症と診断して不妊治療を行っていきます。


 
 

不妊の初期スクリーニング検査

まず、図1に当院の初期スクリーニング検査を提示します。もし、前医の検査結果があれば省略可能です。

 


 

それぞれの詳細

では、検査内容を個別に確認していきましょう。
 

① 卵巣予備能検査

実は「卵巣予備能」という言葉は、日本産科婦人科学会において定義されておらず、当院でにおいては卵巣に残るおおよその原始卵胞の数として定義します。原始卵胞は卵子の元で、生まれてから増えることはありません。女性は、胎生期(生まれる前)に約500-700万個、生まれたときに約100-200万個、月経がはじまるころに10-30万個、閉経時に約1000個の原子卵胞をもっており、1か月に約1000個の原子卵胞が減少すると言われています1)
卵巣予備能は、あくまで残っている原始卵胞の数を類推しているわけで、それ自体で妊娠率や出生率の予想にはあまり有用でありません。では、なぜ必要かとなりますが、治療戦略の決定には非常に有用だからです。たとえば、20-30歳代で卵巣予備能が非常に低い場合、『年齢が若いからタイミング療法を1年続けても大丈夫ですよ!』とはなりません。不妊治療の大事な方向性を決定するのに、卵巣予備能検査は非常に重要といえます。
 
胞状卵胞数(Antral Follicle Count; AFC)ですが、実は計測するサイズが定義されておらず、2-10mmをカウントする人が多いとされますが2-8mmの方もおられます。私は、2-8mm程度をカウントしています。あくまで定量的な検査ではなく、ざっくり卵巣予備能が低いか高いかを判定するに留まります。
 
抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian Hormone; AMH)は、不妊治療を行う年齢においては前胞状卵胞と小胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されます。AFCもそうですが、『原始卵胞関係なくない???』と思われますが、不思議と関係があります。また、AFCには平均値や中央値があっても、正常値は設定できません。理由としては、20歳代であってもAMHがほぼ0の方もおられ、測定値が非常にばらつくからです。
 
まとめると、卵巣予備能は非常に大事な検査です。
 

② 内分泌学的検査

大きく、ホルモン検査(FSH、LH、テストステロン、PRL)、甲状腺機能検査(TSH、Free T4、TgAb)、耐糖能検査(HbA1c)、25OHビタミンDを測定します。
 
月経周期におけるFSHとLHの変動については図2を参照下さい。少し古い論文ですが、IVFにおいて月経3日目のFSHが15IU/l未満で妊娠率が高く、15IU/lを超すと妊娠率が低下するといった報告があります2)。これらを検査することは、妊娠する力(妊孕性)を予測することに繋がります。

 


 

甲状腺機能は、亢進症(バセドウ病や亜急性甲状腺炎など)や低下症(橋本病など)のスクリーニング検査になります。亢進症では、早産・常位胎盤早期剥離・胎児発育遅延・死産などに加えて、抗TSH受容体抗体を有する場合は胎児・新生児の甲状腺機能亢進症を呈する場合があります。低下症においては、顕在性であれば流産・早産・胎児発育遅延・児の知能低下に関わるとされています。潜在性の場合は、抗TPO抗体を有する場合は流早産の原因となるとされています3)。また、初期検査のひとつである子宮卵管造影により甲状腺機能低下症を生じる例も報告されており、子宮卵管造影前の検査データが必要となります。以上より、妊娠を望まれる女性においては甲状腺機能を調べて損はないと考えています。
 
コントロールされていない糖尿病がある場合、流早産や妊娠高血圧症候群が増えます。
ビタミンDについては、生殖補助医療を受ける際にビタミンDが欠乏していた群で出生率が低下したとの報告があります4)

 
上記の経緯から、内分泌学的検査を行います。
 

③ 感染症検査

梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIVについては、夫婦ともに検査を行って頂きます。夫も行う理由としては、生殖医療ガイドライン2025において男性の感染症検査が推奨レベル(A)として記載されたからです5)。しかしながら、ガイドラインで推奨されているにも関わらず検査に保険が適応されません。
風疹HIについては、妊娠した後に母体が風疹に罹患すると、児が先天性風疹症候群に罹患するリスクがあります。これを避けるために、抗体価が低い方は不妊治療前に風疹ワクチン接種を推奨していますが、2か月間避妊が必要となります。
 
クラミジア検査については、クラミジア感染症が卵管狭窄や閉塞の原因となりえます。また、子宮卵管造影後のクラミジア再燃についても懸念されるため、受診後早い段階での検査が望ましいと考えられます6)
 
感染症検査は、不妊の因子となりうることに加えて、パートナーへ感染する可能性がありますのでまずは精査を行います。
 

④ 子宮形態および卵管疎通性の評価

子宮卵管造影では、子宮および卵管を評価できるため、子宮であれば内膜ポリープや子宮奇形の有無、卵管であれば狭窄や閉塞の有無を確認できます。
 
一般不妊治療を行うのであれば、精子・卵子・受精卵(胚)が卵管を通過するため、必須の検査といえます。
 

⑤ 精液検査・抗精子抗体

精液検査は、『不妊症と原因について』でも述べましたが、不妊の原因の約半数は男性因子と言われており精液検査は必須です。
抗精子抗体については、女性の頸管因子や免疫因子にあたります。
 
まず、これらの検査を同じ項目にまとめているのはナンセンスですが、ページの問題ですみません。ただ、二つとも重要な検査です。
 

⑥ 子宮頸部細胞診(子宮頸がん検診)

まず、がんでないことが不妊治療の前提になります。ですので、必須の検査といえます。
 
 

まとめ

さて、長々とお話してきましたが、如何だったでしょうか。
恐らくわからないことも多数あるかと思いますので、何かあれば何なりとご質問下さい。
 
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
 
 
伏見IVF乳腺うえだクリニック
院長 不妊治療・婦人科 上田匡
 


1) Baker TG. A Quantitative and Cytological Study of Germ Cells in Human Ovaries. Proc R Soc Lond B Biol Sci. 1963;158:417-33.
2) Scott RT, Toner JP, Muasher SJ, Oehninger S, Robinson S, Rosenwaks Z. Follicle-stimulating hormone levels on cycle day 3 are predictive of in vitro fertilization outcome. Fertil Steril. 1989;51(4):651-4.
3) Stagnaro-Green A, Pearce E. Thyroid disorders in pregnancy. Nat Rev Endocrinol. 2012;8(11):650-8.
4) Chu J, Gallos I, Tobias A, Robinson L, Kirkman-Brown J, Dhillon-Smith R, et al. Vitamin D and assisted reproductive treatment outcome: a prospective cohort study. Reprod Health. 2019;16(1):106.
5) 生殖医療を行う前のパートナー男性の感染症検査は必要か?. 生殖医療ガイドライン. 2025:33-5.
6) Forsey JP, Caul EO, Paul ID, Hull MG. Chlamydia trachomatis, tubal disease and the incidence of symptomatic and asymptomatic infection following hysterosalpingography. Hum Reprod. 1990;5(4):444-7.

PAGE
TOP