伏見IVF乳腺うえだクリニック

産婦人科の専門医(サブスペシャルティ)制度について2025.11.17

こんにちは。2026年5月に開院予定の、伏見IVF乳腺うえだクリニック 院長の上田匡です。
今回は、ちょっと趣向を変えて産婦人科の専門医制度について、
つまりサブスペシャルティ(以下、サブスペ)についてかなり偏った私見を述べたいと思います。
あくまでも私見ですので、雑談程度の感覚で読んでいただけると幸いです。

 


 

 皆さま病院やクリニック選びの際に何をみますか?
  ホームページですか?
  建物の綺麗さですか?
  手術などの実績ですか?
 私は、はじめに医師の略歴・資格の項目をチェックしています。
 何故かといえば、そこに医師が努力してきた経歴があるからです。

 

では、その医師の略歴・資格を飾るサブスペについて、私見を語ります。
このコラムが皆さまの病院選びの一助になれば幸いです。

 

サブスペシャルティとは

Googleで『サブスペシャルティとは』と検索すると、【サブスペとは、医師の専門医資格における、基本領域専門医の上に位置する、より専門性の高い分野のことです。新専門医制度では、基本領域の専門医を取得した後に、サブスペ領域の専門医資格を取得する「2階建て」構造が特徴です。】との答えが返ってきました。
内容に違和感がなく、本当に最近のAIは賢いですね。

まあ、簡単にいえば『基本の専門医をとった後に取得する、より専門性の高い専門医資格』です。産婦人科であれば、産婦人科専門医をとったあとの専門医です。

 
 

まずは産婦人科専門医をとるために

サブスペを取るには、まずは産婦人科専門医といった前提条件があります。
産婦人科専門医の取得条件はまず、初期研修(2年間)を修了した後、指定された研修施設で3年以上、常勤として産婦人科の臨床研修を修了する必要があります。さらに、論文・書類審査等々を潜り抜けて、なかなかに難しい専門医試験に合格が必要です。個人的には、もう一度産婦人科専門医試験を受けろと言われたら、面倒で心が折れる自信があります。

 
 

サブスペってどんなものがあるの?

以下に、私見ですが産婦人科のメジャーなサブスペをざっくりまとめました。
あくまで私見ですのでご了承下さい。

  1. 周産期専門医(母体・胎児) 
    産科のスペシャリスト。NICUが併設された周産期センターで勤務することが条件になります。妊婦さんの母体搬送を受ける側の病院で働いた経験から、包括的な妊娠管理が得意な先生が多い印象です。ご自身がハイリスク妊婦さんであれば、周産期専門医のいる病院で妊婦健診を受けては如何でしょうか。
  2. 婦人科腫瘍専門医
    婦人科悪性腫瘍の達人。子宮頸がんに対して行う「広汎子宮全摘術」の執刀15例が必須条件となりますが、さまざまな理由で広汎子宮全摘術が減っており、実は受験のハードルが全てのサブスペの中で一番高いと思っています。もし、婦人科悪性腫瘍が疑われる場合、大きな病院の婦人科腫瘍専門医の先生に相談しましょう。
  3. 腹腔鏡・子宮鏡・ロボット技術認定医
    鏡視下手術のエキスパート。技術認定医なのに、受験のために論文の数が求められるのが非常に辛いところ。また、ビデオ審査もルールで細かく設定されており、受験することも合格することもなかなかに難しい印象です。婦人科良性疾患で、しっかりとした鏡視下手術を希望される場合は技術認定医がいる施設を選んではどうでしょうか。
  4. 生殖医療専門医
    不妊治療の熟練者。体外受精の経験が必須条件となりますが、体外受精はクリニックで行われていることが多いため、大きな市中病院で働いている産婦人科医が持っていることは稀です。不妊治療を希望される場合は、生殖専門医がいるクリニックで治療されては如何でしょうか。
  5. 女性ヘルスケア専門医
    女性ヘルスケアのベテラン。産婦人科医は患者さんが女性しかおらず、女性ヘルスケアは避けて通れません。月経困難症、PMS、更年期障害などの様々なトラブルに、深い知識をもって対応してくれます。何か迷いが生じたら、女性ヘルスケア専門医を頼りましょう。
  6. 臨床遺伝専門医
    遺伝のプロフェッショナル。基本的に大きな病院にしか臨床遺伝部がないため、そこで勤務するか、そこに通う必要があるため受験資格を得るのが大変です。婦人科腫瘍、産科、不妊治療と遺伝に絡むことも多いため、必要があれば臨床遺伝専門医に相談しましょう。

 
 

取得って難しいの?

さて、サブスペについて説明してきましたが、これらの取得は難しいのでしょうか?
受験資格および試験内容に難易度の差はありますが、一番きつかったのは受けるまでに必要な年月です。長いところで2年間の学会入会期間があり、その後3年間の研修期間を要し、試験までに合計5年を要する資格もありました。さらに試験は結構な割合で落ち、中には試験に3回落ちたら研修からやり直しとなるハードな資格もあります。試験内容は、内視鏡認定医のみ技術をみるビデオ審査で、他はペーパー試験ですが重箱の隅をつつくような問題ばかりです。

取得が難しいかと言えば、個人的には非常に難しいと考えています。研修期間が長く、テストもそれぞれ難易度が高いためです。ですので、サブスペを2個以上もっている方は資格を取るために注力された方、3個以上もっている方は勉強が趣味な方、と私は理解しています。

 
 

サブスペって結局なんなの?

その分野において、一般的な産婦人科の医師より努力をした証と考えています。ですので、サブスペを持っていない群より、持っている群の方が、その分野において平均的に知識・経験があると考えられます。一方で、サブスペを持っていなくても、その分野において卓越された方がおられるのも事実です。具体的に、私は腹腔鏡技術認定医を持っておりますが、私より圧倒的に腹腔鏡手術が上手な某O日赤の部長は2年連続で技術認定医の試験に落ちてます。理由としては、簡単な症例は若手にいくためビデオに適した症例がない、自分が上手なのを知っているから切羽詰まって認定医を取る必要がない、などが考えられます。

ですので、サブスペはひとつの努力の指標ではありますが、持っていなくても中には特定の分野で卓越された方もおられます。それと、持っていることが当たり前の世の中になってきたため、持っていないと少し寂しい気分になるんですよね(経験談)。

 
 

不妊治療ではサブスペをどう判断すればよいか?

不妊治療の領域であれば生殖専門医を持っている人がいるクリニックを受診すれば良いと思います。加えて遺伝専門医や周産期専門医を同時に持っていると、不妊治療だけでなく出生前診断や妊娠後の管理についても相談ができます。

 

サブスペに対する私見のまとめ

  • まず受験資格を得ることが大変である。
  • 加えてテストも難しいため、サブスペを持っている人はその領域で一定の努力をしている。
  • 周産期専門医であれば産科の知識が多そう、腹腔鏡技術認定医であれば腹腔鏡が上手そう、といった目安の一つになりうる。
  • 2個とるのは大変。
  • 3個以上は若干趣味の領域がはいるため、勉強が好きな人が多い。
  • サブスペを持っていなくても、その分野で卓越された方はいる。

 

非常に長くなりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
皆さまの経歴チェックが少しでも楽しいものになるようお祈りします。

 
伏見IVF乳腺うえだクリニック
院長 不妊治療・婦人科 上田匡
 

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