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子宮鏡検査および子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術ついて2026.10.17

こんにちは、伏見IVF乳腺うえだクリニック、院長の上田匡です。
今回は、不妊治療のスクリーニング検査および治療にも用いられる、『子宮鏡』について解説したいと思います。
 
子宮鏡とは何なのか、どういった場合を行うのか、痛みなどの合併症があるのか、麻酔を行うのか、費用はいくらかかるのかなど、検査前に起こりうる疑問に対してお答えします。
 
 

目次|このコラムでは、以下の内容について解説します。

 

 
 

1.子宮鏡検査とは

 

 
子宮鏡検査は、胃カメラに似ている、径が3mm程度の細いファイバースコープ(図1a)を用いて、子宮内腔の状態を観察する検査です。
当院では、静脈麻酔下に検査を行うため、外来ではなく処置室で行います(図1b)。
 
適応としては、下記になります。
1.子宮内腔に器質的異常が疑われる場合:子宮内膜ポリープ、粘膜下筋腫、子宮体癌、子宮奇形など
2.原因不明の不妊症(着床不全)、不育症などで、子宮内腔の評価や内膜生検が必要と判断される場合
 
特に器質的異常については、超音波検査や子宮卵管造影検査(HSG)で何らかの異常を疑い、子宮鏡検査で直接観察することで診断精度が高まり、
必要時にはこれを取る(生検する)ことで確定診断に至ります。子宮鏡で具体的な画像に残すことは非常に大事で、検査・治療を受けた患者様自身もその内容に納得できるようになります。
 
 

2.子宮鏡検査の流れ

 
子宮鏡検査では、子宮鏡を挿入して子宮腔内を拡張させる際などに痛みを伴うことがあります。
また、当院では検査中に組織採取(生検)などの処置を行うことも多いため、患者様の負担に配慮し、静脈麻酔下に検査を行っています。
麻酔がかかるため、患者様はリアルタイムでの観察は行えませんが、画像を印刷して麻酔から覚醒後にお渡しします。
 

  1. 来院しリカバリールームへ移動
  2. 静脈路(ルート)確保、抗生剤を開始
  3. 処置室へ移動し、内診台で体位をとったのちに静脈麻酔を開始
  4. 処置前に腟内の洗浄を行い、子宮口を展開する
  5. 子宮鏡のスコープを子宮口(子宮の入り口)から挿入し、生理食塩水を流し子宮腔内を拡張させる
  6. 子宮内腔の観察
  7. ポリープや筋腫などがあれば切除
  8. 切除後に再度内腔を観察し、出血や穿孔の有無を確認する
  9. 処置終了

 
検査自体は麻酔を含めて数分~20分程度ですが、静脈麻酔をかけるため術後1~2時間ほどリカバリー室で観察したのち帰宅となります。
 
 

3.子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術とは

 

 
不妊症のスクリーニング検査において、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫などはよく遭遇します。
今回、ポリープを例にとり、実際に超音波検査や子宮卵管造影検査(HSG)でどのようにみえ、それが子宮鏡でどう観察できるのかを提示します(図2)。
まず、(図2a)は経腟超音波検査で子宮内腔にポリープ様構造を認め、(図2b)は子宮卵管造影検査で子宮の左側の造影欠損部を認めています。
(図2c)と(図2d)は子宮鏡検査およびそのシェーマになります。右卵管口(正常構造、卵管の入り口)を確認できますが、
左卵管口は左側の子宮壁から突出したポリープ様構造のため確認できず、臨床診断を子宮内膜ポリープとしました。
これを切除し、病理学的検査(とった組織を顕微鏡で細かくみる検査)に提出し最終診断も子宮内膜ポリープとしました。

このように子宮鏡検査は、子宮内腔にポリープなど切除可能な場合は、その術中に処置を行います。
 
 

4.痛みを含めた合併症について

 

痛み

子宮鏡検査のみであれば痛みは自制内であることもあります。そのため、外来で麻酔なしに行っている施設もありますが、生理食塩水で子宮腔内を膨らませる際に痛みが生じることも多いです。
経験上、麻酔なしで行うと、痛みにより検査が完遂できない場合や、苦痛のため患者様の体に力はいり術野が悪くなる場合などがあります。
また、当院では、子宮内膜ポリープなどの器質的異常が疑われる場合や、原因不明の不妊症・不育症の原因を調べる場合などに検査を行うため、
観察だけでなく、必要に応じて組織採取(生検)などの処置を行うことも多くあります。こうした痛みや処置に伴う負担を考慮し、当院では子宮鏡検査を静脈麻酔下に行っています。

アレルギー反応

麻酔薬や抗生剤で起こることがあります。適宜、対応いたします。

出血

術後に少量の性器出血を認める場合があります、多量の場合は当院にご連絡ください。

感染

子宮腔内に逆行性に生理食塩水を流すため、骨盤内の感染を惹起する場合があります。予防的抗生剤を使用しておりますが、骨盤内感染を生じた場合は追加の抗生剤治療を行います。

子宮筋層の穿孔

経腟的な処置を行う場合、非常に低い確率ですが、子宮の筋層を穿孔(突き破ってしまうこと)してしまう場合があると言われています。
 
上記の如く低い確率ですが合併症が起こりうるため、術後の発熱、強い痛み、多量出血などがあれば当院にご連絡ください。
 
 

5.料金(保険)について

 
※2026年9月時点。当院で子宮鏡検査と子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術を行った場合の保険診療3割負担の一例です。

子宮鏡検査

初再診料 83点+医学管理 4点+投薬 85点+手技 800点+麻酔 120点=1,092点
保険分負担金額3,276円(3割負担)

子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術

初再診料 83点+医学管理 4点+投薬 85点+手技 4,978点+麻酔 600点+病理 990点=6,740点
保険分負担金額 20,220円(3割負担)
 
子宮鏡検査については、子宮粘膜下筋腫の子宮内腔への突出率を測定する場合など、処置を一切行わない場合の金額となります。
また、これらの処置に何らかの処方や検査が加わった場合は、値段がその分前後しますのでご理解ください。
※麻酔の時間によって、麻酔の料金が変わることがあります。
 
 

6.さいごに

 
今回は、子宮鏡検査および子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術について解説しました。
子宮鏡検査では、子宮奇形やアッシャーマン症候群(子宮内腔癒着症)に対しても行いますが、今回はわかりやすく上記に絞っています。
さて、不妊症関連でいろいろ述べてきましたが、不妊症のスクリーニング検査だけでも知るべきことが本当に多くて、医療者でも理解するのが大変です。
患者様にとっては、さらに難しく感じられることもあるかと思います。当院では、患者様に納得のうえで治療を受けて頂くことを基本的な理念としており、わからないことがあれば何なりと気軽にご相談ください。

このコラムが、皆さまの不妊治療に関する疑問を解決する一助になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 
 

伏見IVF乳腺うえだクリニック 院長 上田匡