こんにちは、伏見IVF乳腺うえだクリニック、乳腺外科の上田知佳です。
伏見IVF乳腺うえだクリニックは、京都市伏見区・丹波橋駅から徒歩3分の場所で、不妊治療と婦人科、乳腺外科の診療を行っているクリニックです。
私は主に、乳がん検診や、検診で「要精密検査」となった方の乳房の精密検査など、乳腺に関する診療を行っています。
マンモグラフィの「読影」について

乳がん検診で受けることの多い「マンモグラフィ」。
皆さんは、撮影されたマンモグラフィの画像を、医師がどのように読影しているかご存じでしょうか?
マンモグラフィは、乳房を撮影して終わりの検査ではありません。
撮影を担当する診療放射線技師が、より良い画像を撮影するために技術を学ぶ機会があるのと同じように、
撮影された画像を読む医師にも、マンモグラフィの読影について専門的に学ぶ講習会があります。
今回は、私自身も受講した「マンモグラフィ読影講習会」について、少しご紹介したいと思います。
マンモグラフィには「撮影」と「読影」があります
マンモグラフィ検査では、大きく分けると「撮影」と「読影」という2つの大切な工程があります。
まず、診療放射線技師がマンモグラフィを撮影します。
そして、その画像を医師が一枚一枚確認し、乳がんを疑う所見がないか、さらに詳しい検査が必要な所見がないかなどを判断します。
この「撮影」と「読影」のどちらも、乳がん検診の精度を支える大切な部分です。
マンモグラフィ読影講習会を支える「精中機構」
マンモグラフィの読影講習会や読影試験は、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)が実施しています。
精中機構は、乳がん検診の精度を高めることを目的に、マンモグラフィや超音波検査などに関する講習会・試験、認定などを行っている機関です。
詳しくは、精中機構の公式サイトをご覧ください。→こちら
マンモグラフィ撮影を担当する診療放射線技師を対象とした撮影の講習会もありますし、医師には、マンモグラフィの画像を正しく読影するための講習会があります。
私が今回ご紹介するのは、そのうちの医師を対象とした「読影部門」の講習会です。
私は、2026年8月現在、2025年1月に「第23回京都マンモグラフィ講習会(読影部門)」を受講したのが直近の受講になります。
この講習会では、マンモグラフィの読影について学ぶだけでなく、実際のマンモグラフィ画像を用いた読影試験も行われます。
「正常」をたくさん知ることが、読影の基本
マンモグラフィの読影で大切なのは、異常な画像をたくさん見ることだけではありません。
正常な乳房が、マンモグラフィでどのように見えるのかをたくさん知っていること。これが、実はとても大切です。
乳房は、左右まったく同じ形をしているわけではありません。
左右で乳腺の量や分布が違っていたり、乳腺の重なり方によって見え方が違ったりすることもあります。
そのため、マンモグラフィを見たときに「左右が違うから異常」と単純に判断することはできません。
正常範囲内の左右差なのか、それとも病気によって生じた「本当の異常」なのか。
その違いに気が付くためには、普段からたくさんの正常なマンモグラフィを見て、「正常とはどういうものなのか」を知っておく必要があります。
だからこそ、マンモグラフィの読影には、乳がんについての知識だけではなく、たくさんの画像を見て経験を積むことも欠かせません。
過去のマンモグラフィ画像が、とても大切です
そして、マンモグラフィの読影でもう一つ、とても大切なのが「過去の画像との比較」です。
今回撮影したマンモグラフィだけを見て判断するのと、以前撮影したマンモグラフィと並べて比較しながら判断するのとでは、得られる情報が大きく違います。
・以前からあるものなのか?
・今回、新しく出てきたものなのか?
・以前からあったけれど、少し変化しているのか?
・かなりの異常所見だけど実は10年以上前から変わらないものなのか?
こうしたことは、過去の画像があって初めて分かる場合があります。
つまり、過去のマンモグラフィ画像そのものが、とても大切な診療情報なのです。
乳がん検診を毎回違う医療機関で受ける方もいらっしゃると思います。
もちろん、どこで検診を受けるかには、それぞれのご事情があると思います。
ただ、可能であれば、過去のマンモグラフィ画像を比較できる環境で検診を受けることには、大きな意味があります。
過去の画像が手元にある場合には、ぜひ次の検診の際にもお持ちいただければと思います。
読影試験にも「比較読影」が導入されます
実は、この「過去の画像と比較して読む」という方法は、実際の診療だけでなく、マンモグラフィの読影試験にも取り入れられることになっています。
2026年11月以降に開催されるマンモグラフィ読影講習会およびマンモグラフィ読影更新・ランクアップ講習会では、読影試験の一部に「比較読影」が導入されます。
試験は100症例・200乳房を対象とし、そのうち10症例では、過去のマンモグラフィ画像を参照しながら今回の画像を判定する形式になります。
これは、比較読影が乳がん検診や日常診療において、とても重要な読影プロセスの一つだからです。
実際の診療に近い形で読影能力を評価するために、試験の内容も少しずつ変化しているのですね。
私も実際に読影試験を受けました
私自身も、2025年1月の講習会で読影試験を受けました。
試験では、実際のマンモグラフィ画像を見て、乳房ごとにカテゴリー判定を行います。
このときの私の試験結果は、
感度 100.0%
症例単位特異度 94.7%
乳房単位特異度 97.4%
C感度 97.7%
で、総合評価はASでした。
このときの感度100%という結果は、我ながら、ちょっと嬉しい結果でした。
悩んだら拾っちゃう私らしいな、と思いました(笑)
マンモグラフィ読影で大切なこと
ただし、マンモグラフィの読影では、ただ「見つけること」だけが大切なわけではありません。
異常のない乳房を、「大丈夫だよ、何もなかったよ」と言ってあげることも大切だと、十分理解しております。
読影試験では、病変を見つける力だけではなく、正常なものを異常としないことも含めて、複数の項目から読影能力が評価されます。
実際に試験を受けてみると、普段の診療とはまた違った緊張感がありました。
そして、改めて「マンモグラフィを読む」ということの難しさと、奥深さを感じました。
マンモグラフィの読影も、少しずつ変化しています
最近では、従来の2Dマンモグラフィだけではなく、3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)の読影についても、より学ぶ機会が増えてきたように感じます。
私自身も、乳癌学会の読影練習会などで、トモシンセシスを使った読影問題に触れる機会がありました。
3Dマンモグラフィは、通常のマンモグラフィとはまた違った見え方をするため、読影する側にも新しい知識や経験が必要になります。
マンモグラフィの読影も、時代とともに少しずつ変化しているのだな、と感じています。
マンモグラフィは、実はとても奥が深い検査です
マンモグラフィは、皆さんからすると「乳房を挟んで写真を撮る検査」というイメージが強いかもしれません。
でも実際には、
・より良い画像を撮影する技術
・正常な画像をたくさん知る経験
・小さな異常を見つける読影力
・過去画像と比較して変化を見る力
など、さまざまな知識や技術が必要な、とても奥の深い検査です。
マンモグラフィとエコー、それぞれの検査をどう活かす?
マンモグラフィと乳腺超音波(エコー)は、同じ乳房を調べる検査ですが、見えているものは少し違います。
そのため、当院ではマンモグラフィとエコーを組み合わせて診療することが多いです。
エコー検査を行う前にマンモグラフィを撮影する目的の一つは、まずマンモグラフィで乳房全体を見渡しておくことです。
乳腺がどのように配置されているのか、左右で乳腺の量や濃度に違いがないか、良性のものも含めて腫瘤の可能性がないかなど、乳房全体の状態を把握した上でエコーを行います。
そうすることで、エコーでは見つけにくかったり、分かりにくかったりする病変についても、「このあたりをもう少し詳しく見てみよう」と意識して観察することができます。
それぞれの検査を別々に行うのではなく、お互いの情報を組み合わせることで、より多くの情報を得ることができます。
マンモグラフィとエコーは、どちらが優れているというものではなく、それぞれに得意なことが違う検査です。
だからこそ、それぞれの検査の特徴を理解しながら、マンモグラフィと超音波の両方を組み合わせて診療することが大切だと考えています。
これからも、学び続けていきたいと思います
乳がん検診は、検査を受けて終わりではありません。
撮影する診療放射線技師、画像を読影する医師、それぞれが専門的な知識や技術を持ち、それを維持していくことが、乳がん検診を支えています。
私自身も、2025年1月の講習会を一つの経験として、これからもマンモグラフィや超音波を含めた乳腺画像診断について学び続けていきたいと思っています。
「マンモグラフィと超音波、どちらを受ければいいの?」
「以前の検診画像を持っているけれど、見てもらえる?」
「検診で要精密検査になったけれど、どうしたらいい?」
そんな疑問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
乳がん検診を、少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
伏見IVF乳腺うえだクリニック 上田知佳

