こんにちは、伏見IVF乳腺うえだクリニック、院長の上田匡です。
伏見IVF乳腺うえだクリニックは、京都市伏見区・丹波橋駅から徒歩3分の場所で、不妊治療と婦人科、乳腺外科の診療を行っているクリニックです。
今回は、不妊治療の基本的な考え方から、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精まで、それぞれの治療について、できるだけ分かりやすく解説したいと思います。
不妊治療の進め方
不妊症の治療は、まず不妊の原因を調べ(詳しくはこちら→不妊検査について)、その原因(詳しくはこちら→不妊症と原因について)に対して最適な治療法を選択し進めていきます。
また、不妊症の治療を理解するにあたり、まず「妊娠がどのように成立するのか」を知っておくことも大切です(詳しくはこちら→妊娠のしくみ)。
一般不妊治療と生殖補助医療
不妊治療の方法としては、大きく『一般不妊治療』と『生殖補助医療(Assisted reproductive technology; ART)』にわけられます。
一般不妊治療
一般不妊治療は、大きく分けて2種類あります。
一つは、超音波で卵胞のサイズを評価し、性交渉の適切な時期を指導する「タイミング法」、
もう一つは、排卵時期に濃縮した精子を注入する「人工授精」です。
タイミング法や人工授精による累積妊娠率は4~6周期で頭打ちと言われており(1,2)、最大で6周期をめどに次の治療へ移行することが多いです(ステップアップ)。
よく「一般不妊治療ではどれぐらい妊娠するのですか?」と問われますが、妊娠のしやすさは女性の年齢に大きく依存するため、非常に難しい質問となります。
例えば、機能性不妊(原因不明の不妊症)に対して、タイミング法と人工授精を比較した論文で、妊娠率はタイミング法で11%、人工授精で20%と報告があります(3)。
しかし、実際に不妊外来での妊娠率はそこまで高い印象はなく、タイミング法で5-10%、人工授精で10-20%、年齢が上がればさらに妊娠率は低下するものと理解しています。
生殖補助医療(Assisted reproductive technology; ART)
生殖補助医療は、採卵や採精で得られた卵子と精子を体外で受精させ(受精は本来卵管でおこります→妊娠のしくみ)、
受精した卵(以後は卵子でなく胚とよばれます)を培養器で培養し、育った胚を子宮内腔に移植(胚移植とよばれます)する、この一連の医療技術・医療行為をさします。
生殖補助医療は、受精方法のちがいで「体外受精」と「顕微授精(Intracytoplasmic sperm injection; ICSI)」に分けられます。

体外受精
体外受精は、ふりかけ法・コンベンショナルIVFとも呼ばれ、ディッシュ内の成熟卵に調整した元気な精子をふりかけて受精させる方法です。
顕微授精に比べて自然に近い形の受精となります。
顕微授精(Intracytoplasmic sperm injection; ICSI)
顕微授精はイクシーと呼ばれ、細いガラス管で状態の良い精子を選別・回収し、卵子の細胞質内に注入し受精させる方法です。
体外受精で受精が難しい場合でも顕微授精であれば受精成立を期待できるため、受精率が高くなることがありますが、
その一方で卵子を穿刺するため、卵子へ負荷がかかるリスクがあります。
顕微授精は、体外受精が不成功の症例・精子が少ない症例・獲得した卵子が少ない症例など、受精の機会をできるだけ確保したい症例などで選択されます。
不妊治療は、必ずしも順番通りに進むわけではありません

これまで説明した治療は階段に例えられ、多くの方では徐々に治療強度があがっていきます。
ただし妊娠に影響する多くの因子を考慮する必要があり、女性の年齢・残っている卵子の数の目安となる卵巣予備能(≒AMHの値)・これまでの治療経過・卵管閉塞の有無・
子宮内腔の変形(ポリープ、粘膜下筋腫、子宮奇形)・合併症の有無(子宮内膜症など)・社会環境・男性の精子所見など、
これらの影響で体外受精から治療開始となる場合や、他の治療を組み合わせることもあります。
つまり、不妊治療は「タイミング法→人工授精→体外受精」と必ず順番に進まなければいけないわけではありません。
ですので、まずはクリニックで診察と検査をうけて、ご自身に合った治療方法を選択することが大切です。
その他の治療や検査
今回は主に、一般不妊治療と生殖補助医療について解説しました。
当院では、上記のほかにも
• 不育症の検査
• 着床不全の検査
• 卵子凍結
• 男性不妊の精査・対応
• 子宮鏡下手術
• 卵管鏡下卵管形成術(FT)
など、さまざまな不妊治療や検査を行っています。
必要に応じて他施設とも連携しながら診療を行っています。
まとめ
数多くの選択肢があるため、不妊治療は非常に悩ましいものといえます。
当院では治療を始める前には、検査結果やこれまでの治療歴などを確認し、今後どのような選択肢があるのかをご説明します。
治療を受けるかどうかをまだ決めていない方も、もちろんご相談いただけます。
不妊治療という言葉を聞くと、
「体外受精をしないといけないのかな」
「治療が大変そう」
「お金がかかりそう」
「どこまでやればいいんだろう」
と、不安に思われる方も多いと思います。
そういった不安の多くは、不妊治療について知らないことや相談する相手がいないことで生じます。
ですので、まずは一度ご相談ください。
妊娠を希望されているお二人が、できるだけ納得して治療を選択できるように、一緒に考えていきたいと思っています。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
伏見IVF乳腺うえだクリニック 院長 上田匡
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2. Gnoth C, Godehardt D, Godehardt E, Frank-Herrmann P, Freundl G. Time to pregnancy: results of the German prospective study and impact on the management of infertility. Hum Reprod. 2003;18(9):1959-66.
3. Zeyneloglu HB, Arici A, Olive DL, Duleba AJ. Comparison of intrauterine insemination with timed intercourse in superovulated cycles with gonadotropins: a meta-analysis. Fertil Steril. 1998;69(3):486-91.